こんにちは、筆者の秋月です。
液タブを選ぶときに商品を見比べていると、
「色々情報が書いてあるけど、いまいちよく分からない…」
「いろいろ数値が書いてるけど、そもそもどれくらいあればいいの?」
と、思う人も多いでしょう。
そこで今回は、液タブに関する専門用語やよく出てくる単語について解説していきたいと思います。
液タブの製品スペックについて
まずは、液タブを販売している製品ページの製品スペックを確認していきましょう。
今回は、XP-PEN社から販売されている「Artist Pro 16(Gen2)」を例に見てみます。
製品名 | Artist Pro 16(Gen 2)液晶ペンタブレット | |
製品モデル | MD160QH | |
色 | ブラック・グレー | |
スタイラスペン | X3 Proスマートチップスタイラス | |
ON荷重 | 3 g | |
筆圧レベル | 16384 | |
傾き検知機能 | 60° | |
画面解像度 | 2560 x 1600 | |
サイズ | 405.11 x 291.37 x 20.23 mm | |
作業エリア | 344.68 x 215.42 mm | |
フルラミネーション | あり | |
視野角 | 178° | |
コントラスト比 | 1200:1 | |
輝度(標準) | 250 cd/m2 | |
解像度 | 5080 LPI | |
色域カバー率(標準) | 99% sRGB、97% Adobe RGB、99% DCI-P3 | |
色域面積比(標準) | 159% sRGB、118% Adobe RGB、117% DCI-P3 | |
読取高さ | 10 mm | |
応答速度 | 20 ms | |
レポートレート | 200RPS(最大) | |
精度 | ±0.4mm(中央)、±0.8mm(エッジ部) | |
搭載ポート | 1 x フル機能USB-C 1 x 3-in-1 USB-C | |
電源入力 | AC 110-240V | |
電源出力 | DC 5V ⎓ 3A | |
互換性 | Windows 7以降、macOS 10.10以降、Android(USB3.1 DP1.2)、Chrome OS 88以降、Linux |
色々と知らない単語が出てきたと思いますので、一つずつ順番に解説していきたいと思います。
液タブの専門用語の解説
本記事では、製品スペックの項目ごとに「重要度」を記載しています。
これは、初心者が液タブ選びで特に注目したいポイントの目安です。
製品名
重要度:低
項目例:Artist Pro 16(Gen 2)液晶ペンタブレット
液タブやペンタブレットに付けられている、製品の正式な名前です。
製品ページや通販サイトでの検索、サポートの問い合わせなどで必要になります。
こちらも、性能には関与しないので、気にする必要はありません。
製品モデル
重要度:低
項目例:MD160QH
製品ごとに割り振られている「型番」のことです。
見た目や名前が似ていても、内部仕様が異なる場合があるため、製品モデルで区別することができます。
こちらも、性能には関与しないので、気にする必要はありません。
色
重要度:低
項目例:ブラック・グレー
液タブ本体のカラー(色)のことです。
ブラックやグレーなど、製品によって複数のカラーバリエーションが用意されている場合があります。
見た目やインテリアとの相性など、デザインの好みに関わる部分であり、性能や使い心地には影響しません。
スタイラスペン
重要度:高
項目例:X3 Proスマートチップスタイラス
液タブに付属しているデジタルペンのことを「スタイラスペン」と呼びます。
メーカーやモデルによって種類が異なり、「バッテリーレス」「充電式」などの違いがあります。
ペンの性能や持ちやすさは、描き心地に大きく影響するため、スペック表や実際の使用感をチェックすることが大切です。
スペック表だけではペンの性能が分かりづらいこともありますが、
公式ページに詳しく記載されていることが多いため、事前に確認しておくと安心です。
また、製品によっては専用ペンしか使えない場合もあるため、ペンの種類や互換性もチェックしておきましょう。
ON荷重・最小ON荷重
重要度:中
項目例:3 g
ペンを画面に当てたとき、反応し始めるまでに必要な力のことを「ON荷重」または「最小ON荷重」と呼びます。
数値が小さいほど、軽いタッチでも線が反応しやすくなります。
軽い力で描き始めたい方や、筆圧の繊細な変化をつけたい方には、ON荷重が小さいほど扱いやすく感じられるでしょう。
筆圧レベル
重要度:中
項目例:16384
ペンをどれくらいの強さで押しているかを感知する機能のことを「筆圧レベル」と呼びます。
この数値が大きいほど、弱い力から強い力までをより細かく段階的に認識できるため、
線の太さや濃淡の変化を自然に表現しやすくなります。
「2048」や「4096」などの数値で表され、近年では「8192」や「16384」の製品も登場していますが、
初心者の場合はそこまで高性能にこだわらなくても問題ありません。
傾き検知機能
重要度:中
項目例:60°
スタイラスペンの傾きを検知し、それに応じて線の太さや形状を変える機能のことです。
たとえば、鉛筆を斜めに寝かせて描くような表現も再現できるようになります。
数値としては「±60°」まで対応している製品が多く、
ブラシの表現を豊かにしたい人や、塗りのタッチにこだわりたい人にとっては役立つ機能です。
ただし、マンガや線画中心の作業ではあまり使わないこともあるため、
自分の描き方に合わせて必要性を判断しましょう。
画面解像度
重要度:高
項目例:2560 x 1600
液晶画面に表示される映像の細かさを示す数値です。
解像度が高いほど、画面が鮮明で細部までくっきり表示されます。
主に「4K(3840×2160)」「WQXGA(2560×1600)」「FHD(1920×1080)」などの種類があります。
解像度が高いと、より細かい部分まで見やすくなりますが、価格も高くなる傾向があります。
予算や作業内容に合わせて、最適な解像度を選ぶことが大切です。
サイズ・寸法
重要度:中
項目例:405.11 x 291.37 x 20.23 mm
液タブ本体の大きさ(高さ・幅・奥行き)を示します。
作業する机のスペースに合うかどうかを確認するのに重要な項目です。
なお、「サイズ・寸法」と混同しやすい「作業エリア」とは異なるため、注意が必要です。
「作業エリア」は実際に絵を描くことができる画面の部分を指します。
作業エリア
重要度:高
項目例:344.68 x 215.42 mm
実際にペンで絵を描ける液晶画面の範囲のことを「作業エリア」と呼びます。
作業エリアが広いほど、より大きく細かい絵を描くことができ、操作もしやすくなります。
ただし、作業エリアが広くなると価格も高くなる傾向があるため、予算や使い方に合わせて選びましょう。
フルラミネーション
重要度:高
項目例:あり
「フルラミネーション」とは、液晶画面とタッチパネルを一体化して隙間をなくす技術のことです。
これによりペン先と画面上のカーソルのズレが少なくなり、
描いた線がペン先の位置とぴったり合うため、自然で違和感の少ない描き心地が得られます。
この技術は描きやすさに大きく影響するポイントですが、こちらも搭載されてると価格が高くなる傾向にあります。
視野角
重要度:低
項目例:178°
画面を斜めや横から見たときに、どれだけ色や表示が変わらず見やすいかを示す数値です。
視野角が広いほど、どの角度から見ても画面が見やすくなります。
通常の作業環境では大きな問題になることは少ないですが、複数人で画面を共有したり、
画面を斜めから見ることが多い場合は注意しましょう。
コントラスト比
重要度:中
項目例:1200:1
コントラスト比は、画面の一番明るい部分と一番暗い部分の明るさの差を示す数値です。
数値が大きいほど、明暗の差がはっきりして見やすくなります。
1000:1以上あれば、一般的なイラスト制作や作業には十分な表示品質といえます。
ただし、極端な差が必要な特殊な用途でなければ、あまり気にしすぎる必要はありません。
輝度(標準)
重要度:中
項目例:250 cd/m²
輝度は画面の明るさを示す数値です。
数値が高いほど画面が明るく見え、細かい部分も見やすくなります。
通常の室内作業では250cd/m²程度あれば十分ですが、明るすぎると目が疲れやすくなることもあります。
多くの液タブには輝度調整機能が付いており、明るさを調整できるのでそこまで気にしなくても良いでしょう。
解像度(読み取り精度)
重要度:中
項目例:5080 LPI
ここでいう「解像度」は、ペンがどれだけ細かく動きを感知できるかを表す数値です。
数値が上がることで、ペン先の動きをより精密に検出でき、細かい描写がしやすくなります。
一般的に3000~5000LPI(ライン・パー・インチ)があれば、十分に滑らかな線が描けます。
この数値が高いほど精度は良いですが、日常的なイラスト制作では大きな差を感じにくいこともあります。
色域カバー率・面積比
重要度:高
項目例:99% sRGB、97% Adobe RGB、99% DCI-P3 / 159% sRGB、118% Adobe RGB、117% DCI-P3
色域カバー率とは、画面がどれだけ広い範囲の色を表示できるかを示す数値です。
sRGBやAdobeRGBなどの色空間の中で、何%の色を再現できるかで表されます。
数値が高いほど、より鮮やかで正確な色を表示できます。
一般的に97%以上あれば、イラスト制作で十分きれいな発色を期待できます。
この性能も高いほど、価格が高くなる傾向にあります。
読取高さ
重要度:低
項目例:10 mm
読取高さとは、ペン先が画面から離れていても、どのくらいの距離まで反応できるかを示す数値です。
数値が大きいほど、ペン先を画面から少し離しても線が描けます。
一般的には5mm~10mm程度の読取高さが多く、普段使いではあまり意識しなくても問題ありません。
応答速度
重要度:中
項目例:20 ms
応答速度は、ペンで描いた線が画面に表示されるまでの時間を示します。
数値が低いと、画面に線が表示されるまでのタイムラグが少なくなり、スムーズに描くことができます。
遅延が目立つと違和感があるため、できるだけ低い数値の製品を選ぶのがおすすめです。
多くの液タブでは20ms程度が目安となっています。
レポートレート
重要度:中
項目例:200 RPS(最大)
レポートレートとは、ペンの位置情報が1秒間にパソコンや液タブに送られる回数を指します。
数値が大きいほど、より細かくペンの動きを反映できるため、滑らかな線が描けます。
一般的に200RPS(レポート・パー・セカンド)程度あれば、遅延なく快適に使えます。
精度
重要度:中
項目例:±0.4mm(中央)、±0.8mm(エッジ部)
精度とは、ペンの位置情報が画面上にどれだけ正確に反映されるかを表します。
精度が高いほど、ペン先の動きと画面上の表示がズレにくく、違和感なく描けます。
細かい線や細部の描写を正確に行いたい人は、精度の高い製品を選ぶと良いでしょう。
搭載ポート
重要度:高
項目例:1 x フル機能USB-C、1 x 3-in-1 USB-C
搭載ポートとは、液タブに搭載されている接続端子の種類や数を指します。
USB-CやHDMI、3-in-1ケーブルなど、パソコンやスマホとの接続方法に影響します。
自分の使いたい機器と接続端子が合っているか事前に確認することが大切です。
対応していない場合は変換ケーブルが必要になり、追加のコストや手間がかかることもあります。
電源入力/出力
重要度:低
項目例:AC 110-240V / DC 5V ⎓ 3A
電源入力・出力は、液タブが必要とする電力の仕様を示しています。
多くの場合、製品に付属する電源ケーブルやACアダプタを使えば問題なく使用できます。
ただし、規格が合わないと正常に動作しない場合もあるため、海外で使用する際などは注意が必要です。
互換性
重要度:高
項目例:Windows 7以降、macOS 10.10以降、Android(USB3.1 DP1.2)、Chrome OS 88以降、Linux
互換性とは、その液タブが使えるパソコンやスマホのOS(Windows、macOS、Androidなど)を示します。
自分の使っている機器と対応OSが合っていないと、液タブを正しく使えません。
購入前には必ず自分の環境で使えるかどうかを確認しましょう。
まとめ
今回は液タブの専門用語について詳しく解説しました。
液タブの専門用語は多いですが、主要なポイントを覚えておけば迷わず選べます。
今回の記事のまとめとして重要度が高いと思うものを以下にまとめました。
- スタイラスペン:描き心地に大きく影響します。
- 画面解像度:画面の細かさを示し、鮮明な表示に関わります。
- 作業エリア:絵を描ける範囲の大きさで、広いほど描きやすいです。
- フルラミネーション:画面とペン先のズレを減らし、自然な描き心地を実現。
- 色域カバー率・面積比:鮮やかな色表現ができるかの指標です。
- 搭載ポート:接続端子の種類で、使いたい機器と合うか確認が必要です。
- 互換性:使用するOSとの対応状況も必ずチェックしましょう。
この記事がみなさまの液タブ選びの参考になれば幸いです。